どこまで測ったか
「CLAUDE.md に書けば守られます」と言う前に、数えました。その記録です。
使い方のほうを知りたい方はCLAUDE.md のページへ。
測り方
- 1. 空のフォルダに、決まりを1行だけ書いた CLAUDE.md を置く
「すべての回答の、いちばん最後の行に必ず〔決まりを読みました〕と書くこと」 - 2. そのフォルダから、決まりとは何の関係もない質問をする
「日本の首都はどこですか。一言で」 - 3. 決まりが守られたかを数える
決まりと関係のない質問にしたのは、「守れましたか」と聞いてしまうと、聞いた時点で守らせることになるからです。
Ⅰ 書いた決まりは、守られるのか
置いた決まりが、会話をまたいでも・長い会話の途中でも効き続けるかを数えました。
① 別の会話でも守られるか
毎回まっさらな状態から聞きました。4種類のAIで3回ずつ。
12回中 12回
作業フォルダに置いた決まりは、会話をまたいで効きます。
② 長い会話でも守られ続けるか
同じ会話を8往復続けて、途中に1〜3千字の長い答えを何度も挟みました。 こちらのほうが実務に近い形です。
| AIの種類 | 8往復のうち守られた回数 |
|---|---|
| Haiku 4.5 | 8回中 8回 |
| Sonnet 5 | 8回中 8回 |
| Opus 5 | 8回中 8回 |
| Fable 5 | 8回中 8回 |
1回も落ちませんでした。
Ⅱ どこに、何という名前で置けば読まれるのか
同じ中身でも、置き場所と名前を間違えると読まれません。しかもエラーは出ません。
③ 複数置いたらどうなるか
上のフォルダに「回答のいちばん最初に〔親〕と書く」、 下のフォルダに「いちばん最後に〔子〕と書く」を置いて、下から質問しました。
返ってきた答え
[親] 東京 [子]
上書きではなく、両方とも効きました。
ただし、中身がぶつかったときは決まっていません。最初の試しでは、上にも下にも「いちばん最後の行に書く」と置いてしまい、 結果は〔子〕だけでした。 公式の説明にも「2つの決まりが矛盾していたら、どちらかが選ばれる。どちらかは決まっていない」とあります。
ぶつかる決まりを2か所に置かないのが、唯一の対策です。
④ 名前を変えるとどうなるか
いろいろな名前と置き方で、同じ決まりを置いて数えました。
フォルダに置いただけ
CLAUDE.md 4種類中 4 ○ RULES.md 4種類中 0 ✕ AGENTS.md 4種類中 0 ✕ spec.md 4種類中 0 ✕ ← 英語の名前でも読まれない 仕様書.md 4種類中 0 ✕
CLAUDE.md の中に「@ファイル名」と書いて呼び出した
@spec.md 4種類中 4 ○ ← 英語の名前 @仕様書.md 4種類中 0 ✕ ← 日本語の名前
同じ spec.md でも、置いただけなら ✕、呼び出せば ○。
呼び出さなくても読まれる、もう1つの置き場所
.claude/rules/ の中 4種類中 4 ○ ← 名前は自由。日本語でも読まれた
2026-08-15/Haiku 4.5・Sonnet 5・Opus 5・Fable 5
Ⅲ 自分でファイルを開かずに済むのか
ここからは問いが変わります。書くのを自分でやらない場合、正しく書かれるのかを数えました。
⑤ AIに書かせたら、正しく書けるか
ここまでは、人が手でファイルを開いて書いた場合の話です。自分で開かずに、AIに書かせたらどうなるかも数えました。
隠れたフォルダを開く・ファイルを探す・貼る・保存する、の4手が要らなくなるためです。 ここが、いちばん人の減るところでした。
測り方
- 1. 1回ごとに、まっさらな作業フォルダを作る
- 2. そこに先に別の決まりが2つ書いてある CLAUDE.mdを置く(空だと「上書きした」事故が見えないため)
- 3. 決まりを1つ渡して、書き足させる
- 4. できあがったファイルを、機械で読んで数える
① 正しいファイルに書いた 12回中 12回
② 前からあった決まりが残った 12回中 12回
③ 文がそのまま入った 12回中 12回
④ 書いたあと、中身を見せた 12回中 11回
落ちた1回は、書けていました。答えはこれだけです。
完了しました。新しい決まりを CLAUDE.md に追加しました。
ファイルを開くと、ちゃんと入っていました。入っていることを、こちらが確かめられないだけです。これが、このサイトの静かに間違うと同じ形でした。対策の側で踏みました。
書き方は揺れます。Haiku 4.5 は3回とも2文を1行にまとめました(Opus 5・Fable 5 は3回とも2行のまま)。文そのものは12回とも変わっていません。
測っていないこと: ~/.claude/CLAUDE.md(全部の作業で共通のほう)に書かせる形。 作業フォルダの外に書くので許可を聞かれ、この測り方では止まってしまいます。
2026-08-16/Haiku 4.5・Sonnet 5・Opus 5・Fable 5(各3回)
⑥ 公式の点検道具は、あてになるか
Anthropic が公式に配っている点検の道具があります(claude-md-management)。自分の CLAUDE.md を読んで、点数と直し方を出してくれます。
入れ方と使い方、採点の内訳は→ 決まりは、育てていくものにまとめました。ここは、実際に動かして数えた記録だけです。
ただし、点数は鵜呑みにしないでください
同じファイルを、続けて3回点検させました。
1回目 51 / 100 判定 C 2回目 47 / 100 判定 D 3回目 52 / 100 判定 C
中身は1文字も変えていません。幅は5点。判定は C・D・C に割れました。1回で止めていたら、「51点でした」と書いていたところです。
ぶれたのは「コマンド」と「構成」の2項目です。 「気づきにくい落とし穴」は 14・13・14 でほとんど動きませんでした。
そしてこの採点は、こちらが書いた決まりを測っていません。100点の内訳を開いたところ、55点がプログラムの中身についての項目で、「AIが自分にどう接するか」には1点も配点がありませんでした。
確かめていないこと:この道具にはもう1つ /revise-claude-md (その会話での学びを書き足す)が付いていますが、そちらは動かしていません。会話の終わりに使うものなので、1回だけの実行では中身が出ないためです。
2026-08-16/点検はいずれも Opus 5/同じファイル(170行)で3回
Ⅳ 決まりとは別に、AIが自分で書き残すものがある
ここまでは、こちらが書いた決まりの話です。 AIには、気づいたことを自分で書き留めて次の会話に持ち越す仕組みが別にあります。 こちらが書いていないので、中身を知らないまま効きます。
いちばん危ないのは、AIが自分で書いた覚え書き
AIには、気づいたことを自分で書き留めて次の会話に持ち越す仕組みもあります。便利です。そして、いちばん事故ります。
実際に起きたこと
AIが2日前に、自分でこう書き残していました。
この人を「プログラムが書けない人」と表現するのは不正確。
噛み砕きすぎた説明は不要。
2日後、その方針どおりに、黒い画面の操作を説明なしで案内されました。 こちらが返した言葉が、これです。
私は本当にプログラマーじゃない会社員なのです。
覚え書きに並んでいた事実のほうは、合っていました。動いている道具が5つある、というのは本当です。間違っていたのは「だから説明は噛み砕かなくてよい」という結論のほう。
事実が正しいまま、結論だけ間違って残る。これがいちばん見つけにくい形でした。
確かめるための、そのまま貼れる文
覚え書きは、こちらから聞かないかぎり画面に出ません。出させて、自分の目で読むしかありません。
いつ貼るか
新しい会話を始めるとき、いちばん最初に貼る
毎回でなくてかまいません。ただし、方針が変わったあと・しばらく間が空いたあとは必ず。
作業を始める前に、次を教えてください。 1. 私やこの作業について、あなたが**すでに覚えていること**を そのまま全部見せてください(要約しないでください。書いてある文のまま) 2. それぞれ、**いつ書かれたもの**ですか 3. その中に、**いまの私の話と食い違うもの**はありますか 食い違いがあったら、直す前に私に見せてください。 何を消して何を残すかは、私が決めます。
効くのは1番の「要約しないでください」です。要約させると都合の良いところだけが残ります。そのまま出させると、 自分が言った覚えのない断定が混ざっていることに気づけます。
この測定の限界
測ったのは「回答の最後に決まった文字を書く」という、守ったかどうかが一目で分かる決まりです。
「そういう場面だと気づかないと守れない」種類の決まりは、まだ測れていません。たとえば「推測でアドレスを組み立てない」「1回の結果を根拠にしない」。
このページを書いた日、同じ間違いを1日に何度もしました。どれも後者の種類です。
ただし、そのときはまだ、その決まりを書いていませんでした。時刻を並べて確かめたら、失敗(12:11/12:51/12:58)は3つとも、 決まりを書いた時刻(13:12)より前でした。「書いたのに破られた」ではなく「まだ書いていなかった」のほうです。最初はここを取り違えて、このページに書いていました。
公式の説明では、決まりのファイルは「文脈として扱われるのであって、強制される設定ではない」とされています。ただし、破られた実例は手元にありません。上の測定では、44回中44回守られました。「守られないことがある」と書くだけの根拠が、まだこちらにありません。
測れたことと、測れていないことを、混ぜずに書いています。後者の数字が出たら、ここに追記します。