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AIは「いま」を知らない
日付を聞けば「分かりません」と答える。聞かなければ、知っている顔で話す。
実際に起きたこと4件
- 会話
夜10時に「今日はここまでで区切りが良さそうです」と言われた
作業の途中で、AIが「今日はここまでで区切りが良さそうです」と切り出してきました。
実際の時刻を確かめたら、**夜の10時を回っていました。** 区切りどころか、とっくに遅い時間です。
**AIは時計を持っていません。** 日付は最初に渡されていましたが、時刻は渡されていませんでした。「そろそろ夕方くらいだろう」という雰囲気で言っていただけです。
**聞けば「分かりません」と答えます。** でも聞かなければ、知っているような顔で時間の話をします。
- 集計
「今月分を集計して」の“今月”が、ずれる
日付が絡む処理は、ここが起点になります。「今月分」「先週から」「30日以上前のものを」——どれも**いまが何日かを知らないと決まりません。**
AIは知らないまま、それらしい日付を置いて処理を書きます。**動きます。エラーも出ません。** 数字も出てきます。ただ、集計している範囲が違います。
しかも**作った日はたまたま合っていることがあります。** ずれ始めるのは、翌月に入ってからです。
- 自動化
自動で動く仕組みには対策したのに、自分の話し方では同じ間違いをしていた
毎日決まった時刻に動く仕組みを作ったとき、**曜日と時刻はコンピュータから取らせる**作りにしました。AIの思い込みでは危ないと分かっていたからです。
**その同じ日に、自分の発言では時刻を思い込みで話していました。**
対策が要るのは「プログラムの中」だけではありません。**会話の中で出てくる時間の話も、同じくらい根拠がありません。**
- 書きもの
「触って2ヶ月」と書いたが、記録では約40日だった
公開する文章に「2ヶ月」と書きました。あとで作業の記録を調べたら、いちばん古い日付から数えて**約40日**でした。
期間は、**いまが何日かと、始めた日の両方**が分かって初めて出ます。片方が曖昧なまま、それらしい数字が出てきていました。
**期間・頻度の表現がいちばん危ないです。** 「2ヶ月」「毎日」「3ヶ月かかった」は、検証されにくいのでそのまま通ってしまいます。
なぜ気づけないのか
**知らないことと、間違えることの区別がつかないからです。**「あなたの学習は古いですか」は聞きやすい質問ですが、**「いま何時ですか」は、聞く必要があると思われていません。**時計くらい持っているだろう、と受け取る側が勝手に前提を置きます。そして**作った当日は、たまたま合っていることがあります。**ずれ始めるのは翌月に入ってからで、そのころには誰も見ていません。
なぜ起きるのか
**言語モデルには時計がありません。**外から渡されない限り、いまが何日の何時かは分かりません。学習した知識がどれだけ新しくても、この点は変わりません。**「知識が古い」のとは別の問題です。**知識が完璧でも、いまは分かりません。
この型を防ぐには
やることは3つです。渡す相手が、それぞれ違います。
① 覚えておくこと
日付が要る処理は、AIに日付を決めさせない。コンピュータから取らせる。AIが口にした日付・時刻・期間は、全部いったん疑う。
② AIに渡すこと
いつ貼るか
この型に当たりそうな作業を頼むとき、指示の最後に足す
毎回ではなく、この型に当たりそうなときだけ。「作業を始める前に渡すプロンプト」を先に貼っていても、重ねて使えます。
日付や時刻が関わる処理を書くときは、次を守ってください。 1. **日付は必ず、実行するその場でコンピュータから取得してください。** あなたの知識にある日付や、私が前に言った日付を埋め込まないでください 2. 「今月」「先週」「30日前」のような表現は、**何を基準にした何日から何日までか**を 具体的な日付で書き出して、私に確認してください 3. **月末・年度末・うるう年**で境界がどうなるかを説明してください 4. 会話の中で日付・時刻・期間に触れるときは、 **どこから得た数字かを1行で添えてください。**分からないなら「分かりません」と言ってください 「たぶん今日は◯日」で進めないでください。
**4番は会話のための項目です。**プログラムの中だけ対策しても、打ち合わせの会話で出てくる「先月は〜」「あと2週間で〜」には根拠がありません。そこも同じように疑う必要があります。
③ 自分で確かめること — いま動いているものが、この型になっていないか
AIに作ってもらったもので、日付を使っているところを1つ開いてください。**日付がどこから来ているか**を確かめます。文章の中に直接書き込まれていたら、そこが時限式の間違いです。