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最初の1件で、探すのをやめる
「見つかりました」と返ってくる。何件見たかは、返ってこない。
実際に起きたこと4件
- 調べもの
「見つかりました」と言われたが、1件しか開いていなかった
紹介する商品を探すために、一覧を検索してもらったときの話です。「これが最適です」と1件の提案が返ってきました。理由も条件も揃っていて、納得できる内容でした。
翌日、別の目的で同じ検索をやり直したら、**もっと条件の合うものが同じ一覧に出てきました。** 履歴を確認すると、前日の検索結果の中に、それは最初から表示されていました。開かれていなかっただけです。
1件目を開いた時刻と、それを再確認した時刻は履歴に残っていました。他の候補を開いた記録は、1件もありませんでした。
「最適です」という言葉は、全部を見比べた結果に聞こえます。実際には「最初に開いた1件」でした。
- 調べもの
額面の数字だけで並べていた
同じ場面の話です。提案された1件は、数字が一番大きいものでした。ところが条件をよく読むと、こちらの読者にあたる人は**そもそも対象外**で、申し込んでも無効になるものでした。
一方、選ばれなかったほうには、その制限がありませんでした。数字は小さいのに、実際に成立する見込みは高い。
**比べていたのは額面だけで、条件は比べていませんでした。** 数字は表に並べやすく、条件は文章の奥にあります。だから数字のほうが先に目に入ります。
- 設定作業
「分けられます」を、確かめずに前提にした
2つのアカウントを別々に自動化したくて、ソフトの設定を分ける方法を提案しました。「分ければ別々に扱われるはずだ」という前提でした。
実際に分けて、設定して、ログインまで済ませたところで、**分かれていない**ことが判明しました。そのソフトは、こちらが期待していた単位では区別していませんでした。
確かめる方法は1つの命令で済み、10秒もかかりませんでした。**それを、作業を頼んだ後にやりました。**
自分だけが空振りするならやり直せばいい話です。人に頼んだ時間は戻りません。
- 段取り
「後で決めればいい」が、やり直しを3つ生んだ
住所にあたる設定を「まずは仮のままで。必要になったら変えよう」と決めました。金額が小さかったからです。
翌日、本格的に動かす直前で気づきました。その設定は、登録・計測・外部サービスへの申請という**3つの起点**になっていて、後から変えると全部やり直しになります。
**判断していたのは「いま払う価値があるか」だけで、「後で変えたら何をやり直すか」を数えていませんでした。** 金額の話ではなく、順序の話でした。
なぜ気づけないのか
返ってくる答えが、ちゃんとしているからです。理由も条件も揃っていて、読めば納得できます。**足りないのは「他に何を見て、なぜ落としたか」だけ。**そして、それは書かれないので、受け取った側には**探索が途中で止まったことが見えません。**「1件しか見ていない」と「全部見比べた」は、出てくる文章がほとんど同じ形をしています。
なぜ起きるのか
もっともらしい答えが1つ出た時点で、目的が果たされたように見えるからです。**探し続ける理由が、その場に無くなります。**しかも人間の側も、良さそうな答えが出ると「では、これで」と受け取ります。**両方が同じ場所で満足するので、誰も止めません。**
この型を防ぐには
やることは3つです。渡す相手が、それぞれ違います。
① 覚えておくこと
「見つかりました」と言われたら、「他に何件見て、なぜ落としたか」を聞く。答えられなければ、探索は途中で止まっている。
② AIに渡すこと
いつ貼るか
この型に当たりそうな作業を頼むとき、指示の最後に足す
毎回ではなく、この型に当たりそうなときだけ。「作業を始める前に渡すプロンプト」を先に貼っていても、重ねて使えます。
候補を探すときは、次の形で報告してください。 1. 全体で何件あって、そのうち何件の中身を確認したか 2. **落とした候補を、落とした理由つきで3件以上** 3. 1位と2位の差は何か。僅差なら「僅差」と書く 4. 名前や見出しだけで判断した候補があれば、それを正直に挙げる **1件だけ見て「これが最適です」と答えないでください。** 比べていないなら「まだ比べていません」と書いてください。そのほうが助かります。
効くのは2番です。**落とした理由を書かせると、開いていない候補は書けません。**「他も見ましたか」と聞くだけだと「見ました」と返ってくるので、確認になりません。
③ 自分で確かめること — いま動いているものが、この型になっていないか
AIに選んでもらったもの(道具・方法・契約先)を1つ思い出して、「他に何を検討して、なぜ落としたのか」を聞いてみてください。